僕はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。
あすこの岸のずうっと向うにまるでけむりのような小さな青い火が見える。
あれはほんとうにしずかでつめたい。
僕はあれをよく見てこころもちをしずめるんだ。」
(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』から ジョバンニの独白)
他者より少しでも優位に立つと、蔑んだり馬鹿にしたり。
他人がやっていても嫌なのに、自分がやってしまうと気分は最悪。
後悔するってわかっていて、どうしてとっさの言動を制御できないのだろう。
冷静になろうと気持ちを静めるのではなくて、
心持ちを鎮めるって、素敵な考え方かもしれない。
感情を抑えられなくても、考え方一つで言動はきっと変えられる。
私もやってみよう。
心の銀河のずっと遠くに青い火を浮かべて、自分を鎮めてみよう。
(梨木香歩『西の魔女が死んだ』から あやさんの台詞)
あっちをとったら、こっちを捨てる。
こっちに決めたから、あっちを諦める。
そうやって取捨選択性にすることで、
本当に自分が欲しいものを誤魔化してしまった気がする。
仕事、生活、自分、趣味、家庭、友達、etc
これからもきっと、たくさんの岐路に立つだろう。
でも、欲張って幾つも選んだって良いんだよね。
ムチャかもしれないけど、それでダメなら仕方ない。
私の力が足りないからだなって納得して諦められる。
最初から諦めて未練たらたらなのは、良くないね。
わがままでもいい。欲しいものを手にしよう。
「この世界には、美しいものばかりではなくて、醜いものもたくさんありますね。
でもわたし、たまには無理して信じてみるのもいいかな、と思う時があるんです。
美しいものばかりで満ちている世界が、どこかに存在してるって」
「あなたが声をかけたから、その人は、出してはいけない手紙を出さずに済んだのかも。
そうやって、美しいものが少しずつでも、醜いものを打ち消していく。
そんな奇跡が、どこかで毎日起こっている。
そんな風に想像すると、なんだか少し、気持ちが明るくなりません?」
(柴田よしき『気の弱い脅迫者』から 女将の台詞)
私も美しいものが好き。
美しいもの、善良な心、優しさだけで世界が満たされていたら、どんなにいいかと思ってしまう。
現実はそのまったく逆で、世界は醜いものだらけ。
醜いものにしか触れられなくて、泣いてしまう日もある。
それでも、だからこそ、美しいもののパワーを信じたい。
小さな美しいものが、世界を明るく素敵にしていくんだって。
だから、私も美しい心を持ち続けようって、思い続けられる。
「どれほど運命に踏みにじられても、
与えられたものの中から満足を見つけ出す強さがあれば、
幸せを味わえるのだ。」
(藤本ひとみ『王妃マリー・アントワネットの首』から)
「夢を自分で切り開け」
そう掛け声をかけるのは簡単で、その掛け声に躍らされて、
自分の居場所がなくなっている人がいっぱいいる。
心で膨張した夢のせいで現実が見えなくて、何も出来ない。
生まれながらに決まってしまっていることは、確かに存在する。
覆すことができないものだって沢山ある。
だから、自分の幸せのことを真剣に考えよう。
すべてを自分で勝ち取るのではなく、どうしても譲れないものだけを選んで、
あとは運命ってやつに身を委ねてしまえばいい。
力も気力も有限。大事なところだけに使えばいい。